社会保険とは
社会保険とは一般的に健康保険及び厚生年金保険のことを指します。原則として法人の業務に週30時間以上従事している労働者と事業者に加入義務があります。個人事業でも常時5人以上の労働者がいる場合に加入義務が生じます。
加入義務が生じた場合、必要な手続きは下記の通りです。
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健康保険・厚生年金保険の新規適用事業所の設置届
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加入対象者の被保険者資格取得届
社会保険料は事業主と労働者が折半して負担します。現状(令和6年12月現在)、年収130万円以下の労働者は、配偶者が社会保険に加入している場合、被扶養者として認定されています。社会保険に加入すると、保険料の半額を労働者が負担することになります。つまり手取りが減るため、被扶養者としての地位を維持するため、わざと年収を130万円以下になるように働き方を調整する人もいます。
労働保険とは
労働保険とは一般的に労災保険と雇用保険のことを指します。例え小さな会社でも、一人でも従業員を雇用した場合は、労災保険への加入が必要になります。初めて 従業員を雇用した場合、少なくとも保険関係成立届と概算保険料申告書の提出が必要となります。
さらに原則として週20時間以上、労働に従事する従業員がいる場合は、雇用保険の加入手続きが必要となります。具体的には雇用保険の適用事業所設置届と従業員の被保険者資格取得届の二つが必要となります。
こういった手続きは、慣れていなければ非常に煩雑で手間が取られる業務となります。労災保険料は会社が全額負担し、雇用保険料は会社と従業員が折半することになります。
社会保険・労働保険手続きが必要となるタイミング
労災保険
まず労働保険の手続きが必要になるのは初めて人を雇用するタイミングになります。雇用保険や社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入要件に合致していないとしても、一人でも従業員を雇用すると必然的に労災保険に加入することになります。手続き(保険関係成立届)を怠ったていた場合、もし従業員に労働災害(または通勤災害)が発生した場合、遡って労災保険料を徴収されるとともに、追徴金を徴収されること になります。何度も労働局から手続きを行うように指導されていたにもかかわらず、このような事態になった場合は、労災保険に要した金額の全部または一部を徴収されることになります。
法律によって規定されているので、従業員を雇った場合、労働保険関係成立届の提出を怠っていはいけません。
雇用保険
次に雇用保険です。雇用保険は原則として週20時間以上勤務する人に加入義務が生じます。労災保険料は事業主の全額負担ですが、雇用保険料は事業主と従業員が折半することになります。雇用保険に加入していれば、会社を辞めた時には基本手当(失業手当)を受給することができるほか、育児休業をする時には育児休業給付金、介護休業をする時には介護休業給付金を受給することができます。
またスキルアップを目指して資格取得等をする場合、教育訓練給付金を受給することもできます。
事業主にとっても、助成金申請をする際の前提要件になっていることも多く、雇用保険に加入していること自体が会社の信頼性アップにつながるというメリットもあります。
健康保険・厚生年金保険(社会保険)
健康保険と厚生年金保険は、ざっくりいうと週30時間以上働く場合に加入義務が生じます。ただし近年、社会保険の適用が拡大傾向にあり、2024年10月以降、従業員数が51人以上の企業については、週20時間以上働き、かつ月収8.8万円以上の従業員に加入義務が生じます。さらに26年10月以降は、月収8.8万円以上の基準を撤廃し、27年10月以降は現行の従業員数51人以上としている基準も撤廃する方針となっています。
つまり、今後健康保険・厚生年金保険に関する手続きは増加していくことになります。
当事務所のサポート
社会保険・労働保険に関する手続きは入退社の時だけにとどまりません。従業員が業務遂行中にケガを負った場合は労災保険の手続き、通勤中に事故にあった場合は通勤災害の手続き、業務時間外にケガや病気になった場合は傷病手当金の申請。さらには子供が産まれた時には育児休業、家族を介護する必要が生じた場合には介護休業という手続きも生じます。
社会保険労務士事務所 活人社では、こういった手続きを支援するとともに、状況に応じて助成金の活用も提案しています。
顧問契約をしていなくても、スポットで受任しますので、お気軽にお問合せください。